2009年3月15日日曜日

邪気眼は厨二病か

近年では魔法、超能力等の関わる話を全部「厨二設定」、「厨二作品」とレッテル貼りをして、いかにストーリーが良かろうが、作画等がよくできた優良なアニメであろうが、「でも厨二だし」と、その作品の良さ認めないような雰囲気を作り出してしまう人がいます。萎えます。

しかし、果たしてセカイ系で超能力装備な話は中二ターゲットに作られているのでしょうか?その辺に少々疑問を感じました。


もともと中二病というものを"発見"したのは伊集院光らしいです。
昔はイジューインネット(ミラー)でその頃の内容を見ることができたんですが、一端閉鎖し、それをミラーサイトの管理人さんが復元するにあたり、中二病のページは失われてしまいました。
「三匹が斬る!の刀を持った2人ではなく、三又の槍を持った人のほうに憧れる」という投稿は、伊集院に「これは(病気ではなく、)紳士です」と認定されたとか。


中二病 とは - Wikipedia@pedia
http://wikipedia.atpedia.jp/wiki/%E4%B8%AD%E4%BA%8C%E7%97%85

wikipedia本家よりも症例が豊富だったので、@pediaのほうにリンクしてみました。

上の症例を見てみると、「魔法、超能力設定のアニメ、マンガにはまる」みたいのは入っていません。ともすれば、小二病あたりに分類されるかもしれません。

もともとは、洋楽を聴くようになる、ラーメンの味にこだわる、コーヒーに砂糖を入れない……など、「あるある」なネタを扱っているネタで、ネット上での「中二認定」も、そのような批評家ぶった、妙に辛口な人々を指して使われていたと思うのですが、近年では、どちらかというとファンタジーな作品を指して「また厨二かよ」とストーリーも設定も作者からのメッセージにも×ゼロをしてしまい、一切のプラス評価を否定するようなコメントがされるようになっています。

なぜ、このような設定の作品を「厨二」と呼び始めたかというと、それはおそらく邪気眼が知られるようになったからではないかと思います。

邪気眼
http://www.wikihouse.com/jakigan/index.php?%BC%D9%B5%A4%B4%E3%A4%DE%A4%C8%A4%E1%C8%F2%C6%F1%BD%EA

コレを見ると、確かに中学時代にやっちゃったっぽい人が多いようにも感じます。
中二病の解説本などにも、「邪気眼系中二病」といった形で紹介されるようになっているらしいです。
やはり、邪気眼は中二病の一種であるのかもしれません。

2chの秋山スレあたりに書かれた事によれば、主人公の年齢を決める際、「自分の立ち位置に悩むなら14歳、恋愛に悩む(男の子)なら16歳」みたいな、小説の設定例というか、児童文学の書き方に関する常識みたいなものがあるんだそうです。たしかに、エヴァンゲリオンあたりは14歳(中二)でしたね。

自分の存在意義に悩むあまり、自分の妄想を現実に持ち出してしまう……というのも、確かに中二時代に起きうることなのかもしれません。つまるところ、症状が極めて深刻(末期症状)な中二病であるのかもしれません。

厨二認定されやすい条件として、
・いわゆる「セカイ系」で、主人公が世界の運命を握っている
・なんのとりえもないごく普通の少年が、突然特殊な能力に"覚醒"する
・主人公一人が特別なわけでなくても、とにかくスケールがでかい

といったあたりでしょうか。
最近では、上の内容が拡張され、「世界の運命とかが関わるってくるもの全部」、「主人公は最初から最後まで完璧に普通でも構わないが、世界観上、超能力が存在する」あたりまで中二レーベルの守備範囲となってしまっています。もう少し、温かい眼で見られないものなのでしょうか。見て楽しむくらいいいでない?と思ったりします。

……要するに、楽しんで見ている側が気にしなければいいんですが。作品を「中二」と評価することと、楽しんで見ている人を「中二」と罵ることは別なわけですし。私がやや自意識過剰なのかもしれません。

まあ、いちいち中二中二言う側も、高二病という「精神年齢同一性障害(そんな病気はない。多分)」の患者であると考えられます。年齢でいうと3つほど上ということにはなりますが、それも症状の内容からそう分類せねばならなかったというだけの、いわゆる五十歩百歩というやつです。

参考までに、高二病、大二病についても。

アンサイクロペディアには、高二病、大二病に関する詳細なページが作られています。
アンサイクロペディア - 中二病
上ページから、高二病、大二病、院二病へのリンクがあります。

数年前に"中二病"のことを知ったころには、

中二病:伊集院プレゼンツ、自意識過剰がもたらす奇行が見られるようになる病気
高二病:中二病に分類される特徴を持つ友人等に「中二病!」と指摘し、自分は徹底的に中二病的行動を避ける。
大二病:「いまだに中二病っぽい部分が抜けなくてさ」とネタにする

みたいな単純な分類でした。院二病はまた、中二病的特長に逆戻りしている感じがあります。

さらに、社会人二年目にかかる病気(社二病)を提唱している人もいました。
社会人二年目になり、自分の下に社会人一年目の新人が入ってくると、「学生気分が抜けてねえ奴が多くてさ、俺が社会の厳しさを教えてやったってわけよ」な先輩風を吹かす人のための病気なのだそうです。

邪気眼をネタにしたラノベとして、田中ロミオの『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ 』 があります。



高校生になった主人公の周りでは、何故か邪気眼丸出しな生徒が多数存在していて、クラスのおよそ半分が邪気眼持ちだったりします。
そしてそれに対しする主人公の対応は、馬鹿にするでもなく、全く理解できないというわけでもない様子で、妙に挙動不審だったりする……という話になります。


自分の存在意義に悩む話としては、まあ多数あるんでしょうが、最近見たものとしてスティーブン・キングの『スタンドバイミー』(主人公12歳)や、ケビン・コスナー主演の映画「FANDANGO(ファンダンゴ)」(主人公22歳)があります。『ライ麦畑でつかまえて』(主人公16歳)も、かなり中二病全開な話になります。

FANDANGOは結構マイナーな映画のようで、近くのビデオレンタル屋では見つけられませんでしたが、TSUTAYA DISCUSでは扱っていました。

TSUTAYA DISCUS ファンダンゴ

もともとこれを見た理由は、橋本紡というラノベ作家が『半分の月がのぼる空』、『空色ヒッチハイカー』という作品でこの映画を紹介していたからです。

Remember when you were sixteen,seventeen,looking ahead?
How you knew the next couple of years・・・they’d be great.
Just knew it. I don’t feel that way no more.

十六とか十七のころを思い出してみろよ。
二、三年もしたら、すげえことがあると思ってたよ。
ちゃんとわかってたんだ。 だけどさ、今はもう、そんなふうには思えないんだよ。


『半分の月がのぼる空』では、普段はやたら明るい主人公の友人(17歳)がこの映画を見て、「今俺も17だけど、とても未来は明るいなんて思えない」とこぼし、『空色ヒッチハイカー』では、作中のキャラクターと同じ年齢(22歳)の主人公の兄が、この言葉をそのまま主人公に残して去っていきます。

日本では高校から大学受験があったり、高校卒業後の就職を控えている時期なので、大学になんとなくいくことを考えて、たいした勉強もなしに進学できてしまった学生あたりと比べると、この時期に受験でなやみ、結果的に壁にぶつかることもある日本の少年は、総じてそう楽観的ではいられない時期と言えるかもしれません。(もっと真剣に進学とその後を考えてる人も当然いるでしょうが、受験の厳しさの差から、もっといい加減にしか考えていないで、大学卒業付近になって初めて悩む学生もいくらか多いのでしょう)
映画の中での登場人物らも、大学の成績不振を理由に徴兵免除を取り下げられ、ベトナム戦争真っ最中に徴兵されることが決まった時期だったりします。


……3月26日追記

良い大人の例。



元ネタへのリンク
ワラノート 7歳の従弟が頭目となって謀反を起こすので。
http://waranote.blog76.fc2.com/blog-entry-854.html

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