2009年10月18日日曜日

chrome osへの期待

chrome osがちょっとだけ公開されて、すぐに公開停止になったらしい。

Chrome OSの初期ビルドをRapidshareやDropboxから誰でもダウンロードできるぞ(しかしこれはMG(記者)の早とちりでした)
http://jp.techcrunch.com/archives/20091014want-that-early-chrome-os-build-you-got-it/

記者は「OSのα版が動かせる!」と報じてしまったものの、実際はChrome osディレクトリ内の、linux上で動くブラウザ部分だけをdeb(debian linux用パッケージ)で公開している状態らしい。

OSそのものは動かなかったのでしょうか。


無料のOSということでしたが、Linuxベースなのかどうか今一情報があいまいだった気がしますが、結局のところLinuxベースということでいいんでしょうか。
Linuxベースではないとした場合、「Word,Excelなどのオフィスソフトは動かないのでは?」とも思っていました。それは実は結構致命的な使い勝手の悪さをもたらす気もしていたので、オープンオフィスなら動くという形でなんとか首がつながりそうです。


どうなんでしょう。広まるんでしょうか、これ。実際のところ難しい気もしますが……

Linuxは無料ということで、2000年前後の黎明期に取り上げられ、さらに2004年ごろにLinspire(Lindows)でもう一度期待され、結局いずれの時にもユーザー用OSとしてはメジャーにはなりませんでした。

売れなかった理由は、これらの時期に期待されたのが、「WindowsがすべてLinuxに置き換えられる」という形であり、そうまでするにはマイクロソフトと同レベルの使い勝手……ヘルプや細かなエラー対策、それとユーザーサポートが必要になります。


メーカーサポートというものも、どんな会社のものであれ「充実している」と受けとられている例は少ない気もしますが、企業のサポートというものや、サポートする気で作られた製品というものは、ずいぶんと使いやすくなっているものです。
伊集院光は、以前Victorのサポートをベタ褒めしていた気がします。珍しい例ですが。家電マニアで、知識がないわけでもないのですが結構サポートセンターみたいな電話サービスを利用することはある様子ですが、そのたびに事務的な対応に悩まされています。結局、サポートセンタの人員も客が持ってるのと同じレベルのマニュアルしか持ってないことがわかったので、頼る気にはなれないんですが……それでも最終手段のように感じてしまうんですよね。

また、そのへんを十分検討したうえで「壊れたんです。保証期間内だから交換してください」みたいな電話をしたときにも、「あー、これはまた機械オンチな客だ」としか思われず、マニュアルの中の確認手順を一通りなぞる必要が生じました。
Linuxを電話サポートで対応しようとしたら、えらいことになるでしょう。Winでどうにもできないこともたまに起こりうるんですが、一応電話、ヘルプ一覧によるサポート体制があります。
電話でなんとかしてくれるのも初歩の初歩というか、マニュアルやらヘルプやらで解決できる程度のものしか受け持ってくれないんですが。
マニュアルをなくしたとか、ヘルプによるサポート情報の検索を自力では行えない人用なんでしょう。

解決に1週間でも1ヶ月でもかけていいから、もうちょい技術専門担当の人を用意して問題解決してほしいところ。

あと、ヘルプの確認メッセージで、「この情報で問題は解決できましたか?」に対し、
「はい。問題は解決しました」
「いいえ、他の情報を探します」
というのも、なんとも教えを請うている感じで少々イライラします。
英訳なんでしょうが、
「問題は解決した」
「他の情報を探す」
くらいでいいんじゃないでしょうか。選択肢上のメッセージなんて。


要するに、Linuxは使いづらいです。一度設定してサーバーとして運用し続けるとかなら堅牢ですが、人が作業に使うPCとしては、様々な点で不便であり、新しいことを試そうとすると、ソフトのインストールや設定にかなり時間がかかることも多々あります。 少なくとも私の場合はそんな感じです。


しかし、今回の使用目的は「メール、ブラウジング(ネット視聴)」程度であり(多分)、これを乗せるPCも「軽量小型ノートPC」という形に絞ってあります。多分。

最近では他にも色々増えてはいますが、ブログ、SNS、ニコニコあたりなら上の機能で十分カバーしています。
一昔前、「メールが送れてネットが見れてゲームができるくらいでいいです」という基準で安いPCを探していた人を掲示板等で見かけました。そのあたりのユーザーならば、問題なく受け入れられそうに思います。
最近はどれくらいの人がこのくらいの目的で足りるんでしょう。オフィスでもPC使用が増えてきてるし、家でも多機能なPCを使う必要のある人が増えてるかもしれません。もともと、安いWindowsPCを購入した場合でも3D機能を使うようなゲームとなるとほとんどできないわけでしたし。(実は、一番ハイスペックなPCを要求する使用目的は、「3D機能を使ったゲーム」。)


また、こういったPCは一人暮らしを始める学生なんかにも向いています。ワンルームの一人暮らしには、場所をとらない小型ノートとかのほうがいい。 安ければなおいい。
大学一年時に「レポート作成にいずれ必要になります」とか言って一台持っとくことを推奨されるんですが、工学部での経験で書くと、3年次にようやく長いレポートを書くころになっても、図とか考えると手で書いたほうが早い部分もあったり、4年次に、遂に実際に必要になるころには、XPがSP2出てて、重すぎて使えなくなってたり、バッテリーが切れてて持ち運びに不便してる例を多数見ています。

最近では大抵タイピングで困ってる人も見かけなくなってますし、バッテリー寿命も延びてますし、OSの肥大化も今後はそれほどひどくはないかもしれませんが、「最初の一台」はこれで十分な気もします。
必要になったものは、あとで必要になったときに新しく買えばいいと思います。パソコンの性能は日進月歩ですから。

また、OSとブラウズ機能が密接につながっている場合(具体的にどういうものか今一わかんないけど)、「有害サイトのフィルタリング」にも非常に適しているのかもしれません。システム的な部分でキーを作って、パソコン会社と電話で管理するなどしておけば、多感な時期のお子様を持つ親御さんも安心して子供にネットを使わせられるかもしれません。

さらに、デフォルトの検索エンジンはおそらくGoogleであり、Googleの検索機能のほうにも制限をつけるようにすれば、サイトの制限もよりスムーズに行きます。現在でも、多少は制限がかかっている様子ではありますが、需要次第でさらに徹底するバージョンが生まれてくるかも。
こうなると、視聴制限機能の導入の際に、「使用検索エンジンをGoogleに限定すれば、さらに安全性があがります!」とか宣伝すると、ユーザー(の親)同意の上で検索エンジンの独占につながるかもしれません。
他の検索エンジン提供元から批判されるでしょうが、「だってほかの検索エンジンから何が出てくるかまで責任取れないしー」とか言われると反論は難しい。いくらでも反論できると突っ込まれてしまうかもしれませんが、このようなサービスは確実に需要があると思うのです。

私自身、ネットへの接続をなかなか親に認められなかった理由として、母がエロサイトを警戒していた部分が非常に大きい気がします。だから、ユーザーが望めばこういう機能もアリになるのではないでしょうか。全国のPTAが推奨!みたいな。
他の検索エンジンも、同様の視聴制限を課すようにしていけば問題はなく、「使用可能な検索エンジンの制限(ブロック)」は認められないかもしれませんが……それでもフィルタリング能力の面でも、googleと勝負するのはまた厳しくなってくるのでは?
独占関連の問題でいざ裁判にまでなったら、「Googleが確実に有害サイトをブロックしているともいえない以上、独占は不当」とかになっていきそう。その場合、Googleは「これはユーザーに求められた機能であり、当社はその中でも最高レベルのサービスを提供しており、他にも対応の努力をしているサービスは多数あることも認めるが、全く対応していない検索エンジンもあり、検索エンジン制限機能は不当な独占にはあたらない」とかになっていくのでしょうか。どこまで行くんだ、PTAvs有害サイト。


……話がずれました。
このOSでは基本的な機能はサポートしているわけなのですが、しかし大抵のゲームは動きません。マインスイパー的なミニゲームはいくらかあるでしょうが、ネットゲームやらファンシーなチャットソフトとかはきっと無理でしょう。ブラウザ上で動かしているやつならOKでしょうか?
100均のゲームも当然動かない。Linux用のフリーゲームとかならありますが、英語だろうし、Linux雑誌とかでたまに特集されてもいましたが……私は入れてみたことがないのでちょっとわからない。

夢を語ってみれば、このPCがシェアを伸ばしていけば、それ用のゲーム、ライブラリ(の使い方に関する情報)が充実していき、パッケージ版のゲームもChromeOS対応になっていくかもしれません。そうなると、必然的にLinuxに関してもゲームに向いてくるようになり……と、ここまで行くと元の「すべてのPCで、WindowsからLinuxに入れ替えられる」と同じレベルですね。やっぱこのへんは無理か。


また、その他Windows用アプリが全般的に使えないわけですから、家ではあまりパソコンを使わないお父さんが買ったり、またおじいちゃんにお勧めしようとしても、年賀状作成ソフトとかも使えないことになります。素材集とかは流用できるでしょうが、素材を選び出すための検索画面みたいなアプリが使えず、大量の画像のストックから自力で探し出すことになるかもしれません。
年賀状作成ソフトも、年賀状の時期にChromeOS向けに出てくれるようならいいんですが、そこは発売後1年ほど様子を見守ってみないとわかりません。
さらに、「ご自宅のパソコンで簡単作成!」「ChromeOSでも作れます!」みたいな宣伝文句が並んでて前者のほうを買って帰ると、「お客様、これはウインドウズ専用でして、そのパソコンではどうやら……」とか言われたりしてね。

プリンターつないで、はがきに印刷する文面やら住所録やらを作るとなると、それはもうChromeOSの守備範囲外な気もするんですが、このへんも一応、ライトユーザーが登っていく階段の代表例でしょう。
購入する年齢層やニーズを見ていかないといけなそうですが、メーカー側は対応していくんでしょうか。
プリンタ用ドライバ(各プリンターで正しく印刷できるよう、送信するデータの順序を設定するためのプログラム)というのも、Linux用では多少サポートが甘いのが現状です。

しかし、以前の「オフィス用PCとして」というものよりも十分広まりうるとは思います。PCが小型化、低価格化が進んだした上で実現したアイデアであり、これまで倒れていった企画とはちょっと違うと思うのです。
あとは、機能を少なく絞ったにも関わらず、ChromeOSのサポートやら使いやすさがWindowsに大きく劣ったり、ライトユーザー層が、「Windowsのほうが安心できるから」と、安さよりもイメージで選んでいってしまった場合、やはり広まらずに消えていくことになるかもしれません。

雑誌なんかで便利な使い方を紹介するようになっていくでしょう。機能拡張については、Linuxとして使えばかなり多用途に使えるようになっていくはずなのですが、
ChromeOSでGimpを使うには、コンソールからsuでルートユーザーになって、apt-getで以下のパッケージをインストールだ。ここで打つコマンドは……」とかやるようだと、やはり、どうしても難しそうに見えてしまいます。
(Gimp:オープンソースで無料な、フォトショップ並の機能を持つ画像編集ソフト)
なんとかウインドウズ並に簡単に入るようにできないものか。Linuxザウルス並ならOKでしょう。
Linuxらしく、コンソールを使った従来の使い方もできたほうがいいとは思うのですが、それとは別に、ソフトウェアのインストールやGUI設定、日本語環境管理は独自に充実させておいてほしいものです。
アップデートは、Debianを使ってる限りではかなり簡単に更新されていきますが、自由にインストールして言った場合、大幅な更新時の動作確認とかでどうなるかわかりません。Debianではいきなり止まったりGUIが起動しなくなったり、日本語が入力できなくなったり、日本語で表示されていたメニュー画面がすべて文字化けしていたりしていたのですが、駄目になったらさっさと諦めをつけて再インストールしろとかをすべてのユーザーに求めることができましょうか(反語)。私も、あんまり重要なデータとか(写真やら日記やら、一度消してしまうと取り返すのが困難なもの全般)を残してないPCだからあっさり再インストールに踏み切れてるわけですし。

OSとブラウザが一体化してるみたいな、かなり独自なカスタマイズを施しているなら、そのOSの中心部分だけは外からは一切いじれないようにしておいて、そこだけは責任を持って管理……とかやれば、後からインストールしたアプリが動かないだけで、OSが起動しないとかはないのかもしれません。具体的にどうやんのかはよくわかんないけど。
さらに、一旦そこまで作り変えるのはいいとしても、それ以降もLinuxのバージョンアップに合わせてサポートしていくのもかなりきついのではないでしょうか。独自のパッケージ管理をしていけばいけるのかな?……どんなOSなんでしょうね。


いきなり売り物として搭載PCを売るのではなく、はじめはモニターみたいなものを募集して、販売以前から情報を集めてみるのも有効だと思われます。企業の側も、自社のPCにインストールしてレンタルし、積極的にモニターを勧誘していけば、独自のサービスにつながっていくかもしれません。…この段階で商品化が難しいことが判明するかもしれませんが、それも逆に、失敗前に撤退という結果になり、投資額を抑えることにつながるかもしれません。

多分、私はそんなものに参加しても、ろくに使わないで普通にデスクトップ使ってるでしょうけど。
あまり使わない人というのも、使用頻度から考えて1年くらい使用状況を見続ける必要があるかもしれません。

また、Windosエミュレーターである「wine」も、もうver.1.0を超えているようなので、そちらを使っていけるように自然に誘導するだけで結構なんとかなるかもしれません。この場合、Google側がやることは、wineがちゃんと動くことを確認するだけですね(建前上は)。

これをきっかけに家庭用PCにもLinuxが普及することになるのか。そしてあわよくばゲーム、アプリ関連でもLinuxの足場を広めるきっかけにもなっていってほしいものです。現場のプログラマーは戦々恐々としているかもしれませんが。

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