2009年11月4日水曜日

サクラダリセット

乙一絶賛で各所で話題沸騰とのことで、そしてイラストは椎名優。
「本好きな人ならいずれ読むんだから今読んどけ」という誘い文句に惹かれて買いましたが、2巻は保留するつもり。 つまり逆に考えるんだ。必ず有名になるんだから有名になってから読めばいいじゃないか。(明日でいいことは全部明日にまわすんだ!)

内容は超能力が当たり前にある世界でのミステリー。
超能力を持った少年少女が、それを管理、看視している、政府関連の組織を通じて依頼される事件を解決していくお話。

超能力があるんじゃミステリーとして何でもアリすぎて、トリックやら行動原理なんかが全く読めなくなって、読者が謎解きをしようとすると困る可能性もあります。でも、私はミステリーを読むことがほとんどなく、そして自力で解くことを目指さない人間なので、とりあえず問題なし。しかし、それがゆえに、そのへんのこと(ミステリーとしてどうか)をここで論じることはできません。
正直、ミステリーとしては読者側からは解けないというか、解くべき謎がとちゅうでどうでも良くなっていってしまっている感じ。作品中で明らかになっていく真相のなかの、何を予測できれば読者の読みは「当たった」と呼べるのでしょうね? ……じゃあ、ミステリーじゃないのかな?

それから、視点の切り替えが時々出てくるけど、今一誰視点なのかの印象が薄く、かつ誰の視点から見てるのかが分からないで読んでると状況が理解できなくなってくる。そこが読みづらかった。

この巻では、登場した人物らの能力が紹介しながら1つの事件を解決します。しかし、主人公の過去やヒロインの人格形成、超能力を管理する組織なんかに関して様々な謎を含んだままで終わっています。1巻で扱った事件はしっかり完結しましたが、続きものと考えていいでしょう。

次回以降は、今回出てきた能力はフル活用で進行していくことになるのでしょうか。
そうなると、今回現れた中では一番の成長株候補というか、ミステリー的に主人公らの「リセット」と同じくらいにバランスブレイカーなあの能力がどう生きてくるかが気になります。

↓↓↓ネタバレ反転
作中では「幽霊」が登場します。その前から、「吸血鬼騒動」みたいのも起きていたりして、「もしそんなのがいたとしても、それは吸血鬼らしき『能力』を持った超能力者だろう」というのが作品中の登場人物らの考えなのですが、実際、登場した「幽霊」というのも、いわゆる超能力の1つになります。
作品中での組織の人の説明いわく、「情報を保持する能力に優れ、たとえ死んでも情報を残せる」というのがその人の持って生まれた超能力だったのだとか。

こうなると、この人はミステリ上最強の捨石と呼べましょう。
「……じゃあ、この容疑者の尾行、やってもらえないかな?」
「えー、そいつ結構ヤバい奴なんでしょ?何人も殺してるっていうし」
「大丈夫、君ならドラゴンボールで生き返られる
「やだよー。私死んだ経験なんてないから。どうなるかわかんないと怖いじゃん」
「俺の記憶の中だと、もう5回は死んで幽霊になってるんだけどね、君」
「そうかー、もうそんなになるんだね。……でも、私死んだときのこと覚えてないんだよね」
「死ぬたびリセットしてきたからね。リセットしないと、君は本当に死んだことになっちゃうし」
「あー、でもちゃんと能力を発現させられるかわかんないよ?私、力使うのこれが初めてだし。……少なくとも、私の記憶の中では」
「うん、実際、3回くらい合流に失敗してることあるんだよね。そのときは時間ギリギリでリセットして、再挑戦かな」
「マジ怖いって!……ねえ、ところで、この人の尾行は何回目?」
「これで2回目。前回は上手くいかなかったんだ。今度こそ、おねがい」
「えー、やっぱ私死ぬんじゃん。いやだよー!」

……という会話が繰り広げられるに違いない。コナンの麻酔のおじさん以上に不憫。
実際のところ、今回は死んだときの状況は覚えてないんですよね。それは今回の死に方がちょっと特殊だったからの可能性もあるんですが。



実はこの本の感想を書こうか書くまいか考えていた段階でようやく思い至った能力の活用法なのですが・・・どうなるんだろう?

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