2009年11月1日日曜日

wikipediaで問題を含むかもしれない記事

wikipedia関連で、もういくつか。

イラク日本人青年殺害事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%9D%92%E5%B9%B4%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

ご両親はあまり騒いでほしくないとのことだったとは思うんですが、

海外のwikipediaには殺害当時の映像の、声明発表中?の画像が張られています。記事そのものはどうあれ、これの写真については、両親が肖像権を主張すれば、削除が認められることかもしれません。顔は出てないけど。

http://en.wikipedia.org/wiki/Shosei_Koda


それから、以前にもちょっと書いた、モンティ・ホール問題を読んで気になったこと。
この記事ではモンティ・ホールの番組で起こったことと、回答者のIQの高い女性の雑誌コーナーの情報が微妙に混じっているような。ていうか、テレビ番組と雑誌と、どっちで起こったことが問題なのさ。問題があるのは出題者?回答者?

英語版を読んでみると、ちょっとだけ記述が異なることがわかります。

私が読んだ限りでは、初出:モンティ・ホールのThe dealというテレビ番組
問題になった場面:マリリン・サヴァントの雑誌上の1コーナー
問題:モンティ・ホールが出した問題と、雑誌上での設問に致命的な違いが紛れ込んでいた。そのせいで、テレビ版と雑誌版での問題の正解が別々に存在するようになってしまった。
マリリンはテレビ側の問題についての正解を出すが、雑誌上での設問への答えを書いているわけなので、「『雑誌上の問題の答え』はそうじゃないですよ」と一部の人が指摘。マリリンがその指摘を受け入れず、一般読者、さらに多くの大学関係者も含めて問題に

ということでしょうか?

参考にした当時は、上のような内容だったのかもしれませんが、少なくとも、そこから書き直されるようなことがあったのかもしれません。

私はこの問題について詳しいわけでもないので、wikipediaの書き換えは行いませんが。

英語版wikipediaより。(2009/11/1)
http://en.wikipedia.org/wiki/Monty_Hall_problem

(Krauss and Wangによる正しい出題例 2003:10発表)
3つのドアがあり、それを選ぶように言われました。1つのドアの向こうには車があり、他にはヤギがいます(こちらはハズレになります)。
車とヤギはショーが始まる前、ランダムに(無作為に)それぞれのドアの後ろに配置されます。ゲームのルールは、次のように示されます。
あなたが1つのドアを選んだ後、そのドアはそのときはまだひとまず閉じたままにされます。しかし、ゲームショウのホスト(モンティ・ホール)は、ドアの後ろに何があるのかを知った上で、残り2つのうちのどちらか1つを開かなければなりません。そして、そのドアの後ろにはヤギがいるにちがいありません。
どちらをあけてもヤギがいるドアであった場合、彼はドアを無作為に選ぶことになります。あなたが1番のドアを選んだとき、ホストは3番のドアを開けたとし、そこにはヤギがいたという場面を思い浮かべてください。そして、ホストはあなたに聞きます。「あなたはドアを2番に変更したいですか?」 選択を変えることが得になるのでしょうか?
プレーヤーはこの時点で、どちらが正解の(車の)ドアなのかは判断がつけられず、そしてほとんどのプレーヤーはどちらのドアも同じ確率でしかないと考え、選択を変えることは意味がないことだと考えます。しかし実は、プレーヤーはここで選択を変えるべきであり、……そうすれば、車のドアを選び、車を得られる確率は1/3から2/3と二倍になるのです。

よく知られた問題であり、ときにあいまいでもあると指摘される問題ですが(Seymannの論文 1991)、雑誌Paradeに掲載された問題文は次のとおりでした。

ゲームショウにて、あなたが3つのドアが選択肢として与えられたとします。1つのドアの後ろには車があり、他の2つにはヤギがいます。1つのドアを選んで、1を選んだとしてドアの後ろに何があるのかを知っているホストがヤギがいる3番のドアを空けてみせたとします。そして彼があなたに「2番のドアに変えますか?」と聞きます。選択を変えることが得になるのでしょうか?

このような問題文とその回答が掲載された結果、10000人の読者と1000人近くの博士号所持者から彼女の回答が誤
りであるとの投書が届いた。


文中の表現でちょっと困ったことがありました。
「そのドアの後ろにはヤギがいるにちがいありません」なのですが、これはmustを訳したのですが、上の訳では本当は正しくないのかもしれません。必然性がちょっと薄め。
文章の構成的には上のようになる気がするんです。ただし、詳しいニュアンスを正確に読み取れるような力量は私にはないので、私の主観的な印象によるのみです。結果論的に、この部分に「設問上の条件」として強い状況設定能力を求めるなら、この部分は「扉を開いた先には、ヤギがいなければなりません」としたほうがいいのかもしれない。

テレビ上でモンティホールが実際にハズレの扉を開け続けている限り、問題は表面化しないのですが。


ここで、文中にもあったSeymannの論文のリンクをたどってみると、

このような設問に対し、マリリン・サヴァントは「ドアを変えれば、当選確率が1/3から2/3になる」と回答し、3ヶ月後の12月に3人のPH.Dによる論文が(いくつか)発表された。内2つに、いずれのドアも正解確率は1/2であることが書かれていた。
彼女は自論の擁護として、再び誤った証明と、誤った経験的シミュレーション例を発表した。翌年2月に怒りに満ちたレポートが公表され、「数千に及ぶ手紙をもらい、そのほとんどすべてが私が誤りであると書き連ねられたものであった。実に全体の92%の手紙が反対意見を述べていて、大学名義を含む手紙でも65%が反対している」
サヴァント女史は負けを認めることはなかったわけです。
彼女の言い分はもっともです。正しい設問でさえあれば彼女の答えは正しかった。ただし、彼女の証明のほうは間違いなのですが。



大学関連からは結構彼女を擁護するものも届いていた様子ですね。大学名義を添えて(大学の学生か教授か、そこの卒業生かはわからないが、自身の学力、能力程度を示すためにどこかしこに書き加えておいたのでしょう)手紙を出した人のうちでは、65%が反対しているものの、35%は「あなたの考え方で正しいんですよ」と言ってくれているわけで、この分布は、彼女にいくらかの自信を与えてくれていた部分もあったでしょう。

しかし、問題なのは、ホストが扉の後ろを知ってはいるものの、その選択が「無作為である」と断っているわけではない点……なのか?
無作為でなくとも、「扉の向こうに何があるかを知っていて、ちゃんとハズレの扉を開ける」と知っていれば、ちゃんと確率は1/3、2/3になりそうに思います。そう考えると、モンティホールの番組の設問の文のほうでも、「意図的にハズレをあけています」となっているかは微妙な気も。モンティホールが実際にハズレの扉を開け続けている限り、問題はないのですが。
それとも、
「仮に両方がハズレだった場合は……」という断り書きが、「ハズレじゃないほうが1つなら、ちゃんとそっちを開けますよ」という説明の裏付けとなっていて、「モンティホールが、意図的にアタリを避けて扉を開けています」ということを示しているのかもしれません。
で、どうもその辺りの断りがないと、扉の後ろに車がある確率は、1と3それぞれに1/2になってしまうというのが、このParade誌の設問においての本当の正解ということになるのだそうです。

日本語記事の中では、数百人の大学教授という記述で、英語版の記事の千人近いPh.D(Doctor of Philosophy)=博士号所持者であるという記述で細部が異なっていますが、既に日本では「数学教授による投書」という形で定着しているものなのかもしれません。また、以前は英語版wikipediaでもそのように書いてあったのかもわからない。

私はこの問題は最近(ラプンツェルの翼3巻で)知ったので、このへんの事情はよくわからんです。

初期の記事500くらいには、そのあたりの記述がない。
新しいほうから500個を選ぶと、2008年10月あたりまでしかさかのぼれず、この時点では1000人近いPh.Dとあります。

で、この問題が知られるようになったきっかけ、もしくはマリリン・サヴァントの回答の正否についての問題については、要約すると、

・テレビ番組では、正しく設問が作られていた。
・ちゃんとした設問では、「選択を変えればドアを代えることで2/3の確率で勝てるようになる」が正解
・Parade誌に載った問題では、微妙に文言が異なり、重要な部分が抜けていた。
・その設問では、「選択を変えても変えなくても、どちらのドアも正解率1/2」というものだった

・それでも雑誌上では、「選択を変えると当選率アップ!」と説明していた

さらに、以下の時系列はあいまいになってしまうのですが
・それに対し、Ph.D所持者による論文が投稿され、話題に
・問題を知った多くの人がマリリンに投書
・マリリン・サヴァントが反論。持論を変えず
・上の論文

という流れでしょうか?

投書というのも、その多くは雑誌上の回答にただただ驚いて、「確率が1/3から2/3に上がったりはしない」という部分での投書だった可能性もありそうです。
実際、ぱっと見で出てくる「A,Bともに確率は1/2だろ?」という回答と、マリリンサヴァントに誤りを指摘した教授の「この設問におけるA,Bでの正解確率はそれぞれ1/2である」という指摘は、いずれも結果は同じに見えてしまいますがよーく読むと、実は天と地ほどちがう内容を含んでいるわけです。

いずれにせよ、手紙というのは「正解率はどちらも1/2ですよ?」みたいな内容です。
マリリン・サヴァント側としても、この問題における正解を、「A,Bそれぞれ1/2」としてしまう回答は代表的な誤答なわけなので、どうにも真剣に取り組みづらかった部分があるでしょう。
問題が表出した段階なので、同じ問題に挑んだ人というのがその数人の教授しかいない状態です。情報が少なすぎます。このとき送られた説明も十分ではなかったかもしれません。いきなり、「答えが間違ってるわけでもないんだ。問題がわるいんだよ」とか言われても戸惑うでしょうし。

投書は、数学教授らの思惑とは無関係に雑誌掲載後すぐに届いていた可能性もあります。
広く知られるようになるには、雑誌よりもテレビのほうが強力な気がします。
問題が出されていた当時、モンティ・ホールの問題は「選択を変えたほうがいい」ということが知られていなかったのかもしれません。噂程度では知られていたかもしれませんが、結局のところ広く理解されていたわけではなく、「自分の選択を信じて玉砕するか、または日和見て車をゲットするか」みたいにして見られていた番組なのかもしれません。(実際、選択を変えていた人のほうが獲得例は大きかったにちがいない。そして、選択を変えないほうが"潔い"とみられ、結構選択を変えない人のほうが多かった可能性は十分にあります)

そんな中、一見「どっちもかわらんだろう。どちらも1/2さ」と切って捨ててしまうこの問題に対し、ギネスブックの最高IQ保持者であるマリリン・サヴァントにたずねてみようとした人がいた……という流れなのかも。
一部専門家の間では知られていた「あそこでは、実は選択を変えたほうが有利なんだよね」という知識を彼女も知っており、マリリン・サヴァントのお墨付きで「選択を変えたほうが断然有利」という情報が公表されると、その驚きの選択に世間は大きく反応したのかもしれません。そんな中、数学者のほうも、設問の文章がおかしいことに気づいてさらに問題が複雑化したと。


X線回折 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/X%E7%B7%9A%E5%9B%9E%E6%8A%98

これは陽極で発生させた熱電子を対陰極の金属に衝突させてX線を発生させるものである

09/11/01の時点ではこんな記述です。
対陰極という言葉が難しいものですが、これは陰極と遂になる意味で陽極のことのはず。
電子が出てくる場所は陰極です。電子はマイナスの電気を帯びた粒子ですから。で、ターゲットは、電子を加速させた先、または電子がひきつけられてくる場所は電子とは逆の電荷を持ったプラス極。つまりこちらが陽極……のはずですが、私はXRDの専門家ではないんで編集保留。

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