2020年3月21日土曜日

新型コロナ PCR検査は難しい

私は医者でもないし生物系の実験に詳しいわけではないものの、コロナの分析に使われているPCR法というものについて調べてみた結果をここに書いておきます。
長いので、太字だけ読めばだいたいわかるように書きます。

この手法について、下の画像1枚だけでなんとなく理解していただきたい。


thermofisher(分析機器メーカー)
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/qpcr-basic37/
写真は上記サイトから。

PCR法により、新型コロナ感染の有無が判定可能!といっても上記のような結果が出ます。
6時間後くらいに。

分からないということが分かった。

上記のグラフは、当然コロナの分析を行っているものではありませんが、手法の簡単な説明としては、

新型コロナのDNA(RNA)を取り出し、それを時間経過、または反応を起こさせた回数によってDNAの鎖を千切れさせていき、その結果DNAの長さが短くなったことを微細な振動への反応速度から判定する・・・というものになるでしょうか。見ているのは千切れていく速度か?

太い横線Threshold(しきい値)に対し、サンプルとして得たDNAのほどけていくデータがぶつかった点がCt1、Ct2、Ct3、Ct4と下に表示されています。
このCt値というものが重要なようで、しきい値にぶつかるまでの速さによってDNAの種類の違いが見える様子。4種類のDNAが見られ、それぞれ何であるのか、ある程度目安が付けられる。というもの。

実験手順としてはDNAと取り出すたんぱく質を溶かすような溶液に入れ、一定の温度で6時間保ち、頃合いを見て測定装置に入れて…となるが、こう〇×で答えがでるものでないとなると、ちょっとした綿棒から溶液へのサンプルの入れ方だとか、使用後の装置の洗浄だとかで細かくデータが狂う。出てくる結果も、判で押したように正確に全開と同じものではなくて・・・観察する人の経験と知識がものをいう形だったり。

産経新聞より、感染の簡単診断、確立急ぐ
https://www.sankei.com/affairs/news/200303/afr2003030026-n1.html

写真は上記ページから

イメージされるのはこのような検査手法だと思うのだが、こういうものは新しい病気に対しすぐには開発できないし、炭そ菌のようにもともとある病気であっても、感染拡大時、検査薬の在庫がどれくらいあるやら。

日経新聞の記事によれば、シンガポールで簡易的に行うことができる手法が導入されている例もあるとのことですが、判定の信頼性は低いものもある?とのことです。
日経新聞 よくわかるウイルス検査(コロナ)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56653880R10C20A3I00000/

上記記事内に、「PCR法の検査制度は高い。ほぼ確実にウイルスの有無がわかる」と書かれていますが、のちに陽性と判明する人が陰性と出ることも多く、また擬陽性であることも多いとか?

擬陽性については現状諸説あり、PCRの検査も1度に複数の試薬でDNAを切断させ、同時に4~6くらいのパターンを見比べるので間違えることはないとの意見も。
また、陽性であっても発症は弱いまま完治してしまう例なども知られるようになってきています。なので実は擬陽性ではなかったという可能性もありそう。

簡易に行うことができるものは上記の会社のように、現在開発している場所があるようで、シンガポールで導入されているものはいち早く開発に成功したものを使っているらしい?

このイムノクロマト法については、インフルエンザやノロウイルスの検出について実用化されているもののようで、検査の簡易さ、専用装置が不要などの点で優れているので、数をこなすことには向いているはず。

新型コロナウイルスの感染検査 試薬キット3/16日から国内販売
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2003/13/news055.html
10回分で2万円。血液をとる必要がある模様。

PCR検査のほうは、試薬のコストなどで言うと1回あたり5000円くらい?
そこに装置利用、人件費込みで1万3千円~1万8千円がかかる計算になるとか。

コロナの検査に保険適用へ。ただし自己負担ゼロで実施
http://www.news24.jp/articles/2020/02/29/07602200.html

上記の試薬による一発判定、妊娠検査薬を思い出しますが、あれもイムノクロマト法で、ある種のタンパク質に反応するように作ってあるものらしい。ネットで拾える説明書には、糖尿、尿蛋白、血尿で反応することもあるということで、やはり検出されるものと条件が一致してしまうと誤検出が起こってしまうようです。

インフルエンザ向けのイムノクロマト法のキットの性能評価。
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0750090792.pdf
PCRに比べ70%ほど検出率が下がることも?
またPCR法に比べ100倍ほどのウイルス濃度がなければ検出できないようにも見えますが・・・検出限界の調査のようなものなので、あえて薄いサンプルで比較しているようなので、現実にどれくらい有効性に差がでるのかは不明。


先日、臨床検査技師の方がコロナの診断に尽力する方々のことをツイッターで紹介していました。
現在、PCR検査を担当しているのはリヴァイ班のようなエリートチームでその人たちが全力で対応を行っているとのこと。そしてリヴァイ班という言葉でバズる。
バズったことに驚いてか、もう動画は消してしまったのでしょうか。

紹介した方はPCR検査には携わっていないのだそうですが、そのメンツのすごさやらその手法の難しさやらは実感している様子で、そう簡単な検査方法ではないことをわかってほしいということでした。

科学技術の分析というものは、重力波の検出であるとかの手法を説明する際「科学的な分析手段として見えてくるものは相手の影絵のようなもので、その影を見ながら相手の正体に近づいていかなければならない」と説明されることがあります。

PCR法についても同様です。
新型コロナのDNA(RNA)の長さを見ているもので、その短くなっていく速度、短くなり始める時間などを見てコロナであるかそうでないかを判定するというもの。

これは「身長と足のサイズだけを数字で示されるので、そのデータに合致する芸能人が誰か当ててみろ」というくらいの分析手法であると言えます。

既に新型コロナが示す検査結果は手元にあるので、それと同じ傾向を示すデータが得られたなら、それは新型コロナである可能性がある というわけになります。

・・・しかし、世界には雑多な生物がに存在しているので、ひょっとしたら前日に行った登山で体内に入った、軽い風邪程度のウィルスなどが同じくらいの曲線を見せる可能性も否定できません。
そっくりさんはそうはいないとはいっても、PCR検査で同じ結果を出すもの(鎖の長さ、千切れ方の傾向が同じまたは身長と足のサイズが一致する人)くらいならいくら存在していてもおかしくありません。
(毒性やらを見ているわけではないので、まったく無害なウイルス、DNAデータであってもコロナと同じように見える可能性があります)
しかし、複数のDNA切断パターンを試す場合、複数のパターンでも一致する例は少なくなっていくため、通常のPCR検査では相当高い精度で目的とするウイルスを識別できるため、PCR法によるコロナ診断の信頼性は問題ない水準であると推定している人もいます。

こういった誤診断?にまつわる漫画として、検査技師がメインものがあります。
グランドジャンプ ラジエーションハウス
http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/radiation.html

レントゲンを見て、「よくある病気ですね」と判断されるものの、レントゲンの影の大きさに比べ患者が訴える痛みがいように大きかったり、レントゲンの影が見える位置が微妙に違ったり・・・といった部分から珍しい病気の兆候を見つけ出すという内容です。

〇×で判定できるものではなく、見るべき人が詳しく分析する必要があるようです。

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