2009年7月19日日曜日

ダークバイオレッツ

三上延の『ダークバイオレッツ』再読。これだけは中古でしか手に入らなかった。

読んでて気づいたこと。というより、前に読んだときも気になったけど、今回読んでまた気になったこと。

ダークバイオレッツ3巻
ときどき、挿絵を入れ間違えたり(パラサイトムーン)、あまりにも文章と絵が乖離しすぎていて次の巻(と、次の版でも?)修正が入ったり(シーキューブ)することがありますが、この巻の柊美 千紗のイラスト(P97)と菜月が立っているイラスト(P105)は逆ではないかと思った。
明が公園で女の子の幽霊を見かける場面に、「柊美、千紗がそれぞれ紫の銃、音叉を持っている場面」のイラストがあって、その後の、柊美、千紗が石の虫と戦っている場面で柊美が紫の銃を、千紗が紫の音叉を出した場面では、「公園で一人立っている女の子」のイラストがあります。

中古で初版でした。2版が出ているかどうかはわかりません。


5巻(短編集)の、『闇の館』について。

親戚が持っている、古い いわくありげな家に越してきたところ、そこで死んだ遠い親戚の女の子、「古井薫子」は、妹(楓)と同年代で、顔なども良く似ていたりする……というバックグラウンドで始まる話。

最終的に、事件を解決後、病院のベッドで眠っている妹を見ながら、「ひょっとして、妹と幽霊をとりちがえたりしてないよね?」という不安に駆られ、その答えが得られぬまま話が完結してしまいます。

妹の持っていたスケッチブックには、クレヨンであたらしく、「ふるいかおるこ」と書いてあります。

妹(古井楓)の幼稚園では「なかのいい友達同士、持ち物をとりかえっこする」遊びが流行っていたりして、今持っているスケッチブックも、仲のいい女の子ととりかえっこしたものだったりしたのですが、今回は幼稚園の制服(スモック)と、幽霊(正確には、常世の怪物)の着ていた着物を「とりかえっこ」してしまっていた可能性に思い当たり、連れ出してきたほうの幼稚園の制服を着た女の子は、幽霊のほうだったのでは?と不安にとらわれます。

ただ、話の流れ上、妹がとりかえっこしたものは、お互いの「名前」であると考えたほうがしっくりくる気がします。
楓と薫子では、「ふるい か」まで同じであり、それ以降は主人公には読めないほど汚い字であるものの、「か」の後に3文字あるように思え、「か」の次は「お」に読める……といったホラーな語り口で、スケッチブックの持ち主についての疑惑が膨らんでいきますが……

幼稚園児の妹は、自分の名前はそれなりに書けても、今まであまり書いたことの無かった「(か)おるこ」という部分はどうしても汚くなってしまったのでしょう。また、服をとりかえただけでなく、スケッチブックまで交換したのなら、それ相応のアイテムを「薫子」が持って登場していなければなりません。……鞠とかお手玉とか?

『ぜるまん様』同様、無害な存在だったのかもしれません。あのまま遊ばせたら、妹も一緒に焼け死んでいたところですが。

焼け落ちる屋敷に閉じ込めた際、向こうから扉をたたき続けていたのは……なんででしょうね。
また、明良はちゃんと見分けられなかったのか。
柊美さんもちょっと危険な状態だったし、それほど余裕は無かったのかもしれません。
また、「人に見えない幽霊」を見るならともかく、「常世の怪物」のほうは簡単に見分けられない様子でもあったので、仕方ないのかもしれません。
「常世の化け物」になると普通の人にも見えるようになってしまい、「常世の霧が体からもれている」場面を見ないと見分けがつけられない様子でしたから。

しかし、「常世の怪物」であったなら、それは放っておくわけにもいかない訳ですから、この話の末尾に「明良たちが改めて古井薫子の「常世の怪物」を退治した」という部分がない以上、ちゃんと妹のほうが生還していたという結末でいいんだと思います。いいよね?

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